6月8日(土)に、フランス生まれのケアメソッド「ユマニチュード」についての講演会を開催しました。
「ユマニチュード」とは、言語・非言語によるコミュニケーション技法に基づいたケア技術のことで、とりわけ認知症の方に有効とされ、世界中で注目されています。
今回はその考案者であるイヴ・ジネスト氏と、日本でユマニチュード普及に尽力されている本田美和子氏(東京医療センター)、ユマニチュード認定インストラクターの金沢小百合氏を当院へお招きし、「優しさを伝えるケア技術:ユマニチュード®」と題してご講演いただき、ユマニチュードの歴史や哲学、実際の介入事例について、目からうろこのような、学びの多いお話をお聞かせいただきました。
講演の後は病棟に移動し、当院の入院患者さんに対して、実際にユマニチュードを実践していただきました。
ユマニチュードの技術には4つの柱(「見る」「話す」「触れる」「立つ」)があり、これらの技術は勉強すれば誰でも身につけることができます。またその技術の多くは、私たちが赤ちゃんやパートナーに対して自然と行っていることでもあるそうです。しかし、実際にジネスト先生のユマニチュードの実践を目の当たりにし、ケアの場面において私たちがいかに本当の意味で「見て」「話して」「触れて」いなかったかに気付かされました。
ケアをする相手に対し、私たちはしばしば自分がやりたいこと(食事介助、着替え、体をふくこと)を優先した接し方をしてしまいがちです。特に認知症を発症するなど、コミュニケーションが難しいと感じている方に対しては、尚更そうなってしまいます。またこれは、医療・介護職だけでなく、お家で介護をされているご家族の方にも共通します。
しかし今回、ケアの対象者である以前に、「あなたは大切な存在である」ということを、相手が理解できる方法(「見る」「話す」「触れる」)で伝え、「人間らしさ」を取り戻す(「立つ」)お手伝いをすることで、コミュニケーションが円滑になり、ケアもスムーズに行え、患者さん・利用者さん自身の状態も回復しうる、ということを学ばせていただきました。
今回の講演会には、石川ヘルスケアグループのスタッフだけでなく、地域の医療・介護職の方にもご聴講いただきました。
これまでの私たちのケアを振り返る良い機会であったと同時に、明日から実践できる技術や、ケアにおいて注目すべきポイントも沢山お教えいただき、大変貴重な経験となりました。
開催にあたりご協力いただきました皆さま、聴講にお越しいただきました皆さま、ありがとうございました。