リハビリテーション部

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リハビリテーション部

 

HITO病院のリハビリテーション部では、入院期間中の治療だけでなく、入院前や入院後の生活まで目を向け、元の生活に早期に戻れるリハビリテーションを大切にしています。
患者さんが住み慣れたこの地域で自分らしくいきるために、様々な技術や機械を活かして身体機能の回復、生活の質(QOL)向上を目指します。特に生活するうえで重要な基本的日常生活動作(ADL)「歩行・食事・排泄」にも力を入れています。また、予防教室や退院後の支援等も行うことで、地域全体で患者さんのいきるを支えています。      






リハビリテーション部の特徴

疾患別リハビリ方法

+01:脳卒中急性期・回復期
     

急性期(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血…等)

血行動態を確認しながら、座る練習、歩く練習など患者さんの状態にあわせて実施します。
当院では、自宅生活を見据えたリハビリテーションを提供するため、個々の住宅環境をお訊ねしています。必要であれば自宅を訪問して家屋調査を行い、患者さんの不安を少しでも取り除けるよう努めています。

     

回復期

急性期同様、必要に応じて家屋調査を行い、外出訓練や外泊訓練を重ね、退院へ繋げます。個人の趣味や仕事など、自分らしい生活ができるよう支援していきます。
コロナ禍ではzoomを用いて、ご家族と治療回復過程を共有したり、退院の話をしたりと、面会制限がある中でも心を繋ぐ取り組みを行っています。

     

症状に合わせたリハビリテーション

  • 運動麻痺
運動麻痺とは、自分の意思で身体や手足が動かせない状態を指します。一旦失われた運動機能は元に戻らないといわれていましたが、現在では、脳内に新しい神経ネットワークを作り、残された正常な組織が働くことで機能回復が起こるといわれています。 当院では、できるだけ早期にセラピストが介入し、患者さんと問題解決に向けて身体のコンディショニングを行い、正しい動きに導くことで機能回復を図っています。また、ロボット機器を用いての歩行練習や機能的電気刺激などを併用した、ハイブリットリハビリテーションも実施しています。

  • 感覚障害
感覚障害により、皮膚に触れた感じや、関節がどのくらい動いているかが分からなくなります。そのため、記憶から想起しやすいよう馴染みのある物を用いて感覚を入力したり、非麻痺側と麻痺側の動きを比較し、麻痺側の動きのエラーに気付かせ、正常な感覚を知覚することで運動の失敗を少なくしていきます。

  • 言語障害
失語症(話せない、聞いて理解できない、文字が読めない・理解できない、計算できない…等)が代表的な症状です。言語機能の重症度に基づいたトレーニングを行い、言葉の機能回復や必要に応じてコミュニケーション補助手段(ジェスチャー・カードの使用・書字など)の獲得を目指します。
ご自宅にインターネットに接続できる環境があれば、退院後の支援として、当院に来院しなくても自宅で言語療法が行えるように、遠隔で発語改善にむけたトレーニングを試験的に実施しています。

  • 構音障害
運動麻痺によりうまく発声・発音ができない方へ、機能回復を目指して練習を行ないます。

  • 高次脳機能障害
物事を順序立てて実行できない、一度にたくさんのことができない、集中力が続かない、新しいことを覚えられないなどの症状が挙げられます。 本人が答えられる状況であれば各種評価を行い、症状に応じたトレーニングを実施します。積極的な自主トレーニングの導入や、退院後の生活の模擬練習などを行っています。

  • 注意障害
当院のスタッフが個人に合わせた代償手段を提供します。治療場面では、机上課題を行う中で注意の持続や課題遂行能力の向上を図ります。自主トレーニングでは、期間を決めて計画立てたものを、患者さんが自分で実施します。日々の動作の中で評価を行い、実生活の模擬練習を実施していきます。

  • 就労支援
運動麻痺、言語障害、高次脳機能障害などが仕事に少なからず影響することがあります。入院中に各種評価を行い、患者さまの希望にできるだけ添えるように、必要に応じて職場の方と連携を図り、代替手段の検討や、環境整備の提案、適した職務条件の相談・検討を行います。

  • 運転免許
運動麻痺、高次脳機能障害の各種評価を行います。結果に応じて医師の判断のもと、一定まで改善した患者さまについては、運転免許センターと連携して、教習コースで実際の運転能力を確認します。

  • 顔面神経麻痺
耳鼻咽喉科医師の指示のもと、顔面マッサージなどの指導や生活における注意点をお伝えし、後遺症の予防の為にリハビリを行っていきます。改善には数カ月を要することがあるため、改善経過に応じて必要なリハビリ指導を行っています。

  • バイタルスティム
バイタルスティムとは、摂食嚥下機能の改善を目的とした機器です。低周波電気刺激装置で、嚥下筋に対して筋収縮を促すことで、意識的に筋肉を収縮するよりも高い筋力を引き出すことができます。
条件を満たした方であれば実施が可能で、自身での操作や運動は必要ないため、身体的な不安がある方にも使用でき、口からおいしく食べ続ける支援が可能です。
+02:人工関節置換術
     

術前・術後の介入



     

その他のリハビリテーション方法について

【人工膝関節】
●単関節HAL:詳しくはこちら
●CPM(continuous passive motion):機械がゆっくりとした動きで他動的に屈伸運動を補助します。
●スライディングボード:レールがついた台に足を乗せ、自分の手で補助しながら足の屈伸運動を行います。

【人工股関節】
●ロコモステップ:当科で考案した二重課題バランストレーニングです。数字が書かれてあるシートを足元におき、指定された数字の位置へ自分の足を運ぶことで、転倒しにくい体づくりを目指します。詳しくはこちら

※退院に向けて関節の動きの再獲得、筋力の改善、歩行機能の改善、日常生活動作の改善を進めていきます。

     

1日あたりのリハビリテーション提供時間(一人/分)



     

退院後チェック

退院後は1,3,6か月にTUGと片脚立位時間の測定を行い、機能低下が生じていないかチェックします。
+03:骨折
     

下肢骨折

骨折の部位や種類にもよりますが、体重をかけても問題ない場合は、手術後翌日からベッドでの起き上がり、翌々日からは立ったり歩いたりする練習を行います。体重がかけられない方は、足の裏からの感覚や筋力低下に衰えがないよう体重をかけない方法で訓練を行います。退院に向けて、関節の動きの再獲得、筋力の改善、歩行機能の改善、日常生活動作の改善を進めていきます。
また、保存療法の場合は、主にギプスを固定しているため、固定期間中の機能低下を予防できるようリハビリテーションを行います。

     

1日あたりのリハビリテーション提供時間(一人/分)

+04:循環器疾患
     

心疾患

心不全や心筋梗塞の患者さんに対して、全身状態を確認した上で、早期に生活へ戻れるよう訓練を進めていきます。心筋梗塞については、クリニカルパスという治療や検査、処置について表記されたスケジュール表の流れに沿ってリハビリテーションを実施していきます。退院までに患者さんに合わせた運動内容や運動量をご提示させていただきます。
また当院では、機能回復に向けてHAL®腰タイプ自立支援用を積極的に活用しています。
+05:糖尿病
     

リハビリテーション方法について

事前に合併症がないか評価し、運動療法の習慣化に向けて、当院のスタッフがアドバイスします。生活習慣を見直すことで、血糖の改善を図り、合併症の進展を予防します。
入院中は糖尿病の基本的な情報の提供や、患者さん個人に合わせた運動療法の指導・実施、また、退院後の生活の中での注意点を助言し、理想的な療養生活に向けて行動変容が進むよう支援していきます。
退院後の外来でも、入院中に指導した内容が継続できているか、実際の生活で困ったことはないか、自主トレーニングの調整などの相談も実施しております。
+06:呼吸器疾患肺炎・慢性閉塞性肺疾患
     

肺炎

肺炎の多くは、細菌やウイルスに感染した影響により、肺の中で炎症が起こったり、痰がたまったりすることで、肺で適切な酸素交換ができず息苦しさを感じます。当院のリハビリテーション部では、酸素濃度やその他の身体所見に注意しながら、スタッフが痰の排泄を促し、呼吸機能の正常化をサポートします。人工呼吸器装着下においても全身状態を確認しながら訓練を実施しています。
ベッド上でも運動が可能なエルゴメーター(エスカルゴ、テラスエルゴ)や、車いすに乗ったままでも駆動でき、かつ、運動量を可視化し楽しく体を動かせるセラバイタルティーゴを導入し、運動機能の向上を図ります。

     

慢性閉塞性肺疾患

酸素療法と併用しながら、日常生活に必要な動作や運動について、息切れを少しでも軽減できるよう調整したり、代わりの動作で補えるよう訓練します。
+07:がん

リハビリ方法について

手術の翌日からリハビリを実施することで、早期離床を目指し、肺炎等の合併症を予防します。全身状態にも配慮しながら、患者さんへの負担を軽減し、元々の日常生活に戻れるよう支援します。
また、緩和期の患者さんにおいても、苦痛の軽減に努め、できる限りやりたいことや思いに寄り添えるようサポートしていきます。
退院後も継続してトレーニングができるように、パンフレットを用いて指導させていただきます。

実績

  • リハビリテーションを実施した疾患の内訳(2020年度)

※画像クリックすると大きく表示されます。

地域への取り組み(2019年度)

当院のリハビリテーション部では、地域全体の医療・介護の質向上を目指して、地域の医療職・介護職の方へ様々な取り組みを行っています。

+01:いきいきスマイルプロジェクト
     

市内の公共施設をお借りして期間限定で骨折などの予防をテーマに体操教室を行いました。令和元年は、9~10月に各施設で実施し、総勢132名と多くのご参加をいただきました。
(実施場所:川之江文化センター、中之庄公民館、新宮公民館、嶺南公民館、長津公民館)



通信簿(例):継続して参加された方にはレポートをお渡しし、体の変化をお伝えします。



全体の変化:参加者の皆さまの頑張った結果です。

+02:院内ロコモ教室
     

ロコモーティブシンドロームはご存知ですか?
年齢をかさねるごとに体の機能(筋力・バランスなど)が衰えていきます。その結果、歩いたり、移動する能力が低下した状態のことをロコモティブシンドロームと言います。当院ではこのロコモティブシンドロームの予防に向けた教室を実施しています。



ステップ課題

左下の図で示す番号順に、右のステップシートに合わせて右足から交互に足踏みをしていきます。
通常、2つ以上(たとえば目的地へ移動しているときに声をかけられる・お茶を運びながら敷居をまたぐなど)の複雑なことをしようとしたときにミスをしやすくなります。そのため、数字にあわせて(考えながら)足踏み(バランストレーニング)を行うことで、転倒しない体づくりを目指しています。


基本方針

  • 常に高水準の専門的知識と技術の習得に努め、これを実践に活かします。
  • 患者さまの立場に立ったリハビリテーション・サービスの提供を行います。
  • 治療・訓練における安全管理に配慮し、改善対策を行います。
  • リハビリテーションチームの一員として、他の医療従事者と協力し責任を果たします。

職員紹介

78名(2021年4月現在)のスタッフでリハビリの専門性向上とともに、土・日・祝日を含めた365日体制で、患者さんの早期の在宅復帰を目指し、入院生活の充実を図ってまいります。