形成外科では、体の表面の疾患の治療を行ったり、顔面の骨折の手術を行います。生まれつき、あるいは事故や手術で体の一部を失ったり、大きさや形が変わったり今まで無かったものができたりした場合、できるだけ元の状態に近づけることを目的に治療を行っています。具体的には、ホクロや脂肪腫などの良性腫瘍、皮膚癌、瘢痕(けがや火傷の傷跡)、顔面外傷、熱傷、褥瘡(じょくそう)、難治性潰瘍、手指の外傷等を扱います。 またその他にも、耳・鼻・口・手足の先天異常、眼瞼下垂、陥入爪、腋臭症(ワキガ)等、様々な疾患を対象としています。
母斑性母斑(ほくろ)とは、皮膚に生じる腫瘍のひとつです。大小さまざまで平坦なものから盛り上がったもの、黒いものから茶色(褐色)のものまであります。ほとんどが良性の場合が多いですが、まれに悪性の場合もありますので、ご心配な方はご相談ください。
もし皮膚がんと診断された場合、手術で病変を取り除く必要があります。当院形成外科では、切除する部分に他の組織などを用いて審美的に再建します。
一見なにげないホクロやシミ・イボに思えても、万が一のことがあります。皮膚がんは、様々な種類がありますが、一見して「デキモノ」や「ホクロ」、「シミ」のように見えます。軟膏を塗ったり、放置したまま時間が経過しても、全く変わらなかったり、あるいは拡大する場合は、「皮膚がん」を疑って検査をしてみたほうが良いと考えます。
もし皮膚がんと診断された場合、手術で病変を取り除く必要があります。その際、当院形成外科ではできるかぎりキレイに治す手術を心がけています。切除する部分に他の組織などを用いて審美的に再建します。その他、昔の事故や手術などの傷跡などをキレイにする治療も行っております。皮膚がんの根治には早期発見が鍵となりますので、少しでも気になる方はお気軽にご相談ください。
皮膚がんには、下の写真のように、一見すると普通のシミや、湿疹、ほくろと区別の付かないものがあります。
「日光角化症」は、シミのように見え、このような特徴があります。
「ボーエン病」は、赤い色をしていて、一見湿疹に見えますが、次のような場合は一度検査を受けましょう。
「基底細胞がん」は、初期にはほくろのように見えます。毛髪に関係する頭部にできた場合には、毛髪部も切除しなければなりませんが、左写真のようになるべく術後の見た目も考慮した手術を行います。
イボとは、皮膚から盛り上がってできる小さなできもののことを言います。イボは大きく分類すると2種類あり、「ウイルス性によるイボ(尋常性疣贅)」と「加齢によるイボ(脂漏性角化症)」に分かれます。
ウイルス性のイボのことをいい、ヒト乳頭腫ウイルスの感染によって発症します。放置しておくと大きくなったり、数が増えたり、手から足などへ移っていきます。
加齢とともにできるイボで、顔や頭など日光の当たるところに多発します。できる場所や個数も大きさも様々です。
皮膚の上皮成分が皮内や皮下に落ちて袋を形成し、その中に粥錠の垢や皮脂などの老廃物が溜まってできた良性の腫瘍です。 はじめは小さなシコリの状態であることが多いのですが、次第に大きくなり、独特の臭いが生じることがあります。 細菌感染により、炎症を起こす可能性があります。 化膿し、強い痛みや腫れを生じた場合にはできるだけ早く、膿を出すことが必要となります。粉瘤はニキビと勘違いされるケースが多くみられますが、自然治癒することはありません。粉瘤は主要が袋状になった状態の為、それらを取り除く必要があります。
※感染のない場合は手術にて摘出します。
脂肪種とは脂肪のかたまりのことで、脂肪細胞からなる良性の腫瘍です。皮下に発生する軟部組織の腫瘍の中では最も多くみられます。身体の各部に発生しますが、背部、肩、頸部などに多く、次いで上腕、臀部、大腿などに多くみられます。大きさは数㎜の小さなものから、放置することで直径が10㎝以上に成長するものもあります。
MRI、CTで検査をして治療法を判断します
腫瘍の直上を切開し、周囲の組織から剥がして摘出します。 摘出後は、血が溜まるのを予防するために十分に止血し、必要に応じてドレーンを挿入し、圧迫固定します。
眼瞼挙筋というまぶたを持ち上げる筋肉の働きが弱くなり、まぶたが下がって目の瞳孔(黒目)にかぶさる状態のことを言います。
視野が狭いことの他に、常に眠そうな印象を与え、眉毛を上げて視野を広げようとすることで、おでこには深いシワが 刻まれます。また、無意識にまぶたをあげようとする状態が続くため、高血圧になったり、肩こり・頭痛・ 眼精疲労につながる方もいます。
まぶたを持ち上げる眼瞼挙筋を縫い縮める手術により、まぶたを上げやすくします。術後はまぶたが腫れるため、腫れがある程度落ち着くまでは、安静にします。
関節の変形や炎症が刺激となって背側に水疱が形成されます。原因はへバーデン結節によるものです。
手指の関節の腫れ、痛み、痺れ、変形が第1関節に起こることを言います。一般に40歳代以上の女性に多く発生し、手をよく使う人にはなりやすい傾向にあります。
ばね指とは指の腱鞘炎のことです。筋肉と骨を結びつけている組織「腱(けん)」が通るトンネル部分「腱鞘(けんしょう)」で炎症が起き、手のひら側の指の付け根に痛みが生じます。そのまま放っておくと腱や腱鞘が腫れて腱がうまく動かなくなり、ばねのようなかくかくとした動きがみられるようになります。
保存的療法として、局所の安静・固定や投薬、局所のテーピングなどがあります。 急性期では少量の関節内ステロイド注射なども有効です。 保存的療法で痛みが改善しないときや変形がひどくなり日常生活に支障をきたす場合は、手術を検討します。 手術法にはコブ結節を切除するものや関節を固定してしまう方法があります。
顔面は、交通事故・転倒・スポーツなどの様々な原因により若年者から高齢者まで幅広い年齢層で怪我をすることの多い部位です。顔面の怪我による傷痕や変形は、見た目の問題にとどまらず心理的にも大きな苦痛となります。 さらに、顔面の骨折に伴う場合は、変形に加えて、顔面の痺れや開口障害、咬合不全、複視などの後遺症をもたらすことがあります。
顔面骨とは顔面の骨格を形成している骨のことです。 非常に複雑な形をしており「顔」の形態と機能に重要な役割を果たしています。
顔面骨の骨折の中で最も多い骨折です。鼻骨が折れると、ほとんどの場合鼻血がでます。また、折れた部分を指で押さえると強い痛みを感じ、折れた直後は鼻筋の部分が”く“の字型に曲がっていたり凹んでいたりするのがわかるのですが、しばらくすると腫れで分からなくなってしまいます。
眼部に手拳・膝・野球のボールなどが当たった時に見られる特殊な顔面骨折です。眼が落ち窪んだり、目の動きが悪くなって、物が二重に見えたりするために吐き気を催すこともあります。眼窩の下壁には知覚神経が走っており、損傷すれば頬から上口唇の感覚が麻痺します。
頬骨は、頬の高まりを形成している骨で、体部・弓部と呼ばれる部分からなります。体部は前方側に、弓部は側方に突出しているため、転倒などの際に外力を受け、骨折をすることがあります。体部は眼球を保護する壁の一部にもなっているため、骨折によって眼の機能に障害をもたらすこともあります。
顔面中央部の外傷、特に鈍的外傷により発生します。上顎部分の圧痛、腫脹、皮下出血、開口障害及び咬合不全(歯の嚙み合わせの障害)がほとんど必発となります。
顔面下部の外傷、特に鈍的外傷により発生しますが、顔面骨の中で唯一関節を有した骨であるため骨折も特異的になります。下顎部分の圧痛、腫脹、皮下出血、開口障害、上顎骨骨折同様咬合不全がみられます。また、下顎の変形や歯列の不正がみられます。
顔面骨は複数の骨に分かれており、場所に応じた骨の整復 と固定を行うことを基本としますが、症状によっては治療が必要としないこともあります。 治療は全身麻酔下での手術が基本となります。
ガラスなどで指を切ってしまった、転んですり傷ができたりなどのけがをした時は小さな傷だから大したことはないと自己判断はせず、受診されることをおすすめします。特に顔などの目立つ部位の傷は、綺麗に治すためには適切な初期治療が大切です。縫合が必要な深い傷では、形成外科縫合を行っていきます。傷が治癒した後でも、適切なアフターケアや傷痕の治療も行います。
湿潤療法など創部に適した治療と自宅での処置方法をお伝えします。
足病変は、爪の被圧、巻き爪、ウオノメ、タコ、ひび割れなど多岐にわたります。爪病変により痛みが生じ、歩けなくなるかたもいます。
必要であれば爪白癬の検査、治療もします。爪専用のニッパやヤスリで爪を切ったり、爪が厚い・変形している・タコがある場合等にはグラインダーという機械で優しく厚みを取り除きます。
内的要因、外的要因など何らかの原因で創傷治癒が遷延、もしくは創傷の拡大に伴い、治療を続けているにもかかわらず、なかなか治癒しない潰瘍のことを言います。
足の動脈の血行障害が原因となる下肢閉塞性動脈閉塞症で糖尿病・透析・喫煙・膠原病・血管炎などが原因となります。 血がかよわなくなることが原因ですので、足が冷たくなったり、歩くと痛んだりします。
足の静脈の働きが悪くなることが原因で、肥満・妊娠・立ち仕事などが原因となる他、体質も大きく影響します。 足がむくみ、だるくなります。進行すると皮膚は色素沈着して硬くなり、傷が繰り返しできます。
糖尿病や血流評価を行います。内科や循環器内科、外科と共同で治療を行う場合があります。
日常生活において、最も多い外傷の一つで熱湯や蒸気など、熱いものに接触することにより、皮膚が損傷することを言います。 重症度により治療方法が異なっており専門の医師の診断が必要です。早期の治療により傷痕が残りにくくなります。
表皮のみのやけどです。やけどをした部分が赤くなり、 痛みを伴います。水疱はできず、通常数日のうちに治ります。
表皮だけではなく、真皮にまで及んだやけどです。 水疱や潰瘍ができ、傷痕が残る場合があります。範囲や深さによりますが、約1~4週間ほど治療期間がかかります。
真皮のみならず脂肪・筋肉といった皮下組織にまでやけどが及んでおり、やけどをした皮膚が壊死している状態です。専門的な治療が必要で、治療期間に1ヵ月以上かかる場合もあります。
受傷直後は速やかに冷やしてください。水道水やシャワーなどの流水で5分から30分程度行ってください。
やけどの種類によって、治療法が異なります。
けがや手術のあとが赤く盛り上がり、硬くなっている症状を肥厚性瘢痕と言います。また、瘢痕の線維成分が過剰に増殖すると、ケロイドと呼ばれる症状になります。肥厚性瘢痕とケロイドの違いは、肥厚性瘢痕の場合はもともとの傷痕からはみ出して大きくなるようなことはなく、ケロイドの場合は元々あった傷痕からはみ出すようにし拡大してしまいます。
あざとは、皮膚の色が周囲と比べて違って見える状態で、大きく分けて、4つの種類に分類されます。
あざの種類や症状により治療方法が異なります。自然経過で消滅するのか、レーザー治療を行うのかを検討します。
わきの下が特異な悪臭を放つ場合を言い、「わきが」とも呼ばれています。皮膚にはエクリン腺とアポクリン腺の2種類の汗腺があり、腋臭の原因となるのは主にアポクリン腺の方で、汗に含まれる脂質・タンパク質が皮膚表面の細菌の作用で分解され特有の臭いを生むとされています。