口を健康にすることが全身の健康につながること、最後まで口からものを食べることが、その人の生きがいにつながること。これらの点で、近年、高齢者の口の健康が注目されています。そこで、入院および在宅療養中の方々の口の健康を充実させるため、HITO 病院において、平成29年6月1日に当部署が新設されました。 当部署では、高齢者の口の健康を管理し、咀嚼ばかりではなく嚥下がスムーズに行えるようにします。最終的には「何でも食べられる」ようにすることを目標としています。具体的には、歯科治療、口腔清掃、嚥下リハビリ、摂食支援を行います。
当院では、意識状態の低下された方から、回復期でリハビリ中の方まで、様々な状態の患者さまがおられます。各々、口腔健康管理の方法は患者さまの状態によって異なります。患者さまの状態に応じて、必要な方法を選択、実施します。
また、手術を受けられる方々および抗癌剤を投与されている方々にも、口腔健康管理を実施します。これらの方々に口腔健康管理を実施することで、術後合併症の予防、術後創部治癒状態促進、抗癌剤投与による口腔内合併症予防が図られます。
近年、在宅で入院時と同様の医療が受けられるシステム作りが提唱されています。在宅医療を受けられる方においては、誤嚥性肺炎の予防や「口から食べる」機能を維持・回復するために、口腔健康管理が必須です。HITO病院では、HITO病院退院後の患者さまを含め、在宅での口腔健康管理を宇摩歯科医師会と協力して実施しています。
在宅での口腔健康管理は、歯科医師の管理のもと、歯科衛生士により実施されます。ただ、現状では、在宅での口腔健康管理を実施できる歯科衛生士は少なく、在宅での口腔健康管理をより充実させるため、その育成が急務となっています。ゆえに、当部では、HITO病院内に、雇用、教育、研修設備を確立し、在宅で口腔健康管理を実施できる歯科衛生士(在宅衛生士)を育成するシステム作りに取り組むこととしております。