良性発作性頭位めまい症はめまいの原因の中で最も多いと言われています。バランス感覚を司る三半規管というリンパ液が詰まった管に、石(耳石)ができることが原因といわれています。
「良性」という名称がついているものの、本人にとっては「苦痛」な症状であることに変わりなく、適切な診断と治療が望まれます。
ほとんどの場合頭を動かしたときに発症します。例えば起床するとき、お辞儀をしたとき、洗濯物を干すために顔を上げたとき、靴ひもを結ぶときなどに激しい回転性めまいを自覚します。
めまいの多くは1分以内で、難聴や耳鳴などの聴覚障害はなく、全身の感覚や運動にも異常はありません。ただし、パニック状態からくる過呼吸によって他の症状を訴えたり、めまい発作が落ち着いた後も吐き気が残る場合があります。
良性発作性頭位めまい症では、多くの場合発作時の状況を具体的に表現することができるため、問診が重要です。他のめまい疾患との鑑別を行うため、聴力検査や画像検査を行います。目の動きを観察する眼振検査では、体を動かした際に眼振を確認することで病気の詳細な診断を行います。
めまいがひどい時にはめまい止めの点滴や安静で落ち着かせますが、根本的な治療には耳石を三半規管から追い出すような体操が有効です。
効果が見られない場合は、他の病態が考えられるので、別の治療法を検討していきます。
良性発作性頭位めまい症の多くは2,3週間以内に改善しますが、中には長期化する場合もあります。根気良く自宅でもめまい体操を続けることが必要です。
めまい体操は複数の種類があるため、どれが自分に適しているのかは耳鼻科を受診して相談しましょう。また、他の原因によるめまいかどうかの検査を行うことも大切です。