過去3年にわたり猛威を振るった新型コロナウイルス感染症ですが、今年の5月には「5類感染症」へと移行され、ポストコロナ時代に向け、大きく流れが変わろうとしています。その社会変化の中でも、当院が医療を提供している患者さんの多くは高齢者であり、重症化や基礎疾患の悪化などのリスクを有しているため、我々医療従事者は引き続き基本的な感染対策を徹底し、患者さんとそのご家族にとって安心かつ安全な医療を提供することが必要であると考えています。
さらに今後、医療を取り巻く環境は大きく変化し、働き方改革や少子高齢化の加速に伴う労働力不足、国際紛争状況やそれに伴う材料不足と物価上昇など、解決すべき問題が数多く存在します。
また、2024年に施行される「医師の働き方改革」と「診療報酬・介護報酬の同時改定」に向けた準備が求められます。
特に「医師の働き方改革」では、医師の時間外労働に上限が定められます。当院では、以前からDXを活用した業務効率化やタスクシフト、病院総合医の採用、多職種協働によるチーム医療など、多岐にわたる取り組みを進め、制限された中でも従来の質の高い医療を提供できるよう体制を整えています。また医師のみではなく、全職員の業務の質向上や効率化、個々のスキルアップ、多様な働き方など、職員一人ひとりのライフステージに合わせた働き方を整えることで、働き手に選ばれる職場となることを目指しています。
地域の高齢化率はこれからも増加することから、地域に必要とされる医療の提供と機能・質の向上、徹底した地域との連携で、必要な方に必要なサービスを途切れることなく提供していく所存です。
今後も急激に変化する環境の中で、物事を柔軟に捉え、素早く解決策を見つけ、持続可能な医療を提供していくために、病院で働く職員一人ひとりがすべての問題を我が事として捉え、自ら考え行動していく必要があると考えています。我々のミッションである「誰からも選ばれ、信頼される病院を目指す」べく、職員一同、精進してまいります。今年度も何卒よろしくお願いいたします。
2013年のHITO病院開院から10年が経ちました。「HITOを中心に社会に貢献する」という経営理念を掲げ、地域のニーズに応じて必要な医療のあり方を模索し、地域住民、医療機関、行政の方々との信頼の絆をつなぐ事に尽力してまいりました。昨年度も、地域に密着した急性期病院としての使命を果たすべく新型コロナウイルス感染症の流行状況をふまえた対応をしながら、救急医療を含めて通常医療との両立に努めてまいりました。特に、救急患者の受入については「断らない救急」をモットーに、これまでも職員一同、旧病院からのバトンをつなぎ日々精進してまいりました。その成果もあり、2022年の救急搬送受入件数は年間2000件を超え、二次救急病院としての役割を果たすことができたと思っております。
2023年度も12名の新任医師を迎え、新たに救急医も着任となりました。より一層、地域の救急医療のために尽力するとともに、2024年から実走となる「医師の働き方改革」への対応に向けて、さらに多職種のチーム医療を強化し、より質の高い患者さま中心のサービスの提供をスタッフ全員で実践してまいります。
2022 年 4 月より開始した看護師特定行為研修センターでは、昨年度2名の特定看護師を輩出することができました。2023年度は5名の研修生を受け入れ、病院内・地域内において急性期から在宅医療といったあらゆる領域で医療的なケアを含めて推進できる看護師の養成を行い、今後の医療と介護の連携においての基盤を整備してまいります。
今後、当地域においても直面する生産年齢人口の急減に対して、これまで以上に地域の皆さまとつながり、地域と共に、私共の理念に基づき、自らのあるべき姿を追い求め、変化を恐れず前進してまいります。また、グループ全体で医療・介護・福祉の複合体として雇用を創出し、多様な働き方、ライフステージに合った生きがいを持って働ける環境を提供しながら、地域を活性化する一助を今後も果たしていきたいと思います。
未だ誰も直面したことのない環境の中で、次世代のヘルスケアのあるべき姿を追求しながら、職員一同、一丸となって精進してまいります。今年度も何卒よろしくお願いいたします。